凪とスウェル
え…?


どういうこと?


「事故じゃったらしいんよ。
八神さんところは、一人娘じゃったしね。
それで、おじいさんがあの子を引き取ったんよ」


うそ。


そんな!


八神は両親がいなかったんだ……。


「来たばっかりの頃はね、あの子ものすごい暗い顔しとったわ。
目付きも悪うてね。
心を閉ざしとるような感じがしよったわ。
ほいじゃけぇ、うちはね、あの子にビールの配達を頼んだんよ」


「えぇっ、そうなの?」


あたしがビックリして目を見開くと、おばあちゃんがコクリ頷いた。


「最初はほとんど話してくれんかったんじゃけど、何回も話しかけてねぇ。
おやつ出してみたり、お茶やジュースを出したりしよったらね、少しずつじゃけど、心を開いてくれるようになったんよ」


「おばあちゃん、八神とめちゃくちゃ仲良いけど、あれって最初からじゃなかったってこと?」


「ほうよね。そうなるまでに1年くらいかかった思うよ」


へぇぇ。


おばあちゃんってすごいな。


あぁ、でも。


だからなのかな?


八神がやたらウチのおばあちゃんを信頼しているのは…。

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