ときめきに死す
意味が分からなかった。
私がさっぱり理解していないのを察知したのか、縁は眉を困らせる。そして云った。
「加賀美くんの読書量は、世間と比べてずば抜けて多いの。わたしも読む方だとは思うけれど、加賀美くんには及ばないもの。加賀美くんはきっと、読書家と云うより活字中毒のレベルだわ。古書の書架を何周も繰り返し読んでいるんでしょう?」
「てっきりそれが普通だと思っていたけれど……って、僕は君に本の話をしたかい?」
古書の書架には需要の少ない本が多い。誰にも手に取られない本がなんだか可哀想で、いつからか読むようになった。それが日課になってから久しい。
果たしてそれを、縁に話しただろうか。
少女はぴっと人差し指を立てて、
「観察は初歩中の初歩よ」
にっと笑みを濃くした。
美少女探偵は続ける。
「加賀美くんは書架の整理をしていないとき、いつもカウンターで本を読んでいる。わたしが来るたびに違う本を。加賀美くん、古書の棚の左から順に読んでいるでしょう」
「そうだけど……でもどうして?」
私の疑問符に、縁はひと言
「加賀美くんは几帳面だから」
と答えた。