こちら、なんでも屋でございます【3】



「ちょっと…早苗」
「あ、お母様…」
「貴方、いつまでしょげてるつもりなの?」
「…」
「ハァ…なつめさんの行方が不明になってもう一カ月ですよ?そろそろあの方の事は忘れて、お見合いの準備でもしなさい」
「嫌です!!私はなつめさんと結婚するんです!!」
「我儘を言わないでちょうだい。第一なつめさんは何処かの名家の息子でもないただの一般人、早苗と釣り合うわけがないでしょう?」
「酷いわ…っ」
「なんとでもいいなさい。明日、早速大手ゲームメーカーの社長の息子さんが来ますわ、ご無礼のないようにしなさい」
「…ッ」



ガンッ!



襖が音を立てて閉まる。
その音に一瞬身体をこわばらせる。



「酷い…っ、酷いですわ……ッ」




ぽろぽろと落ちてくる涙。




「早苗、様」
「由梨?ど、どうしたの…ッ」
「泣いていらっしゃるのですか?」
「…ッ由梨!!」
「早苗様ッ」
「私…ッ…なつめさんと結婚するって……ッ」
「早苗…様、私に一つ提案があります」
「えっ?」
「もしかしたら、なつめ様が見つかるかも…」
「!!!」
「………東京の新宿の片隅にある廃墟ビルに、『なんでも屋』と言って頼まれたらなんでもこなす方達が居ると噂で聞きました…。その人たちにご相談してみては?」
「……なんでも、屋」
「警察に相談しても捜しもしてくれなかったんですよね?でもこの方達は噂では頼まれた依頼を放棄した事はない、と言っていました。」
「由梨、行くわよ」
「え」
「私、この方達にすべてを託すわ。今すぐ東京に行く準備を」
「は、ハイ!!!」




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