【BL】意地っ張りな恋人くん


「いただきます。」


ラップを剥がそうと手を伸ばしかけると、皿が奪われる。

「温める。」
「別にそのままでいいぞ?」
「ダメだ、温める。」


出海は皿を持って、キッチンに入っていく。


嬉しそうな背中だな。



「……抱き締めてーな。」
「え?何か言った?」


ぼそっと無意識に呟いてしまった言葉。


「い、いや、なんでも。早く食いてーなって思って。」
「少しぐらい待てよ。犬でも出来る。」
「そりゃ、すみませんでした。」


危ない、危ない。

何てこと言っちゃってんだ、俺は。


本当に困るよ。
これ以上、好きになりたくないのに。
今ぐらいがちょうどいいのに。



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