やくたたずの恋
17.おっさんは、心配性。(前編)
 恭平の言葉が響き終えた時、玄関から女たちの声が聞こえてきた。
「おはようございまーす!」
 悦子が先頭になって事務室のドアを開ける。そこから女たちが、一気に部屋へとなだれ込んできた。
「影山ちゃん、おっはよー!」
「あーっ! 敦也さんだぁ!」
「敦也さん、今度私を指名してよー!」
 親しげに声を掛けてくる女たち。その中に雛子の姿を見つけると、敦也は嬉しそうに微笑んだ。
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