やくたたずの恋
 恭平の決断に、悦子は驚いていた。ツンと上を向いた巨乳と一緒に、目玉までもがロケットのごとく、飛び出さんばかりになっている。
 だが、恭平には焦りや驚きの様子はない。この状況を、心から楽しもうとしているようだった。薄っぺらい喜びを顔に張りつけ、雛子へと細めた目を向けている。
「さっさと入って、奥の部屋に行け。ヒヨコちゃん」
「ヒヨコじゃないです! 雛子です! ひ・な・こ!」
「うるせーな! どっちもいいだろうよ」
「よくないです!」
 雛子は頬を膨らませて抗議の気持ちを表しつつ、開いたドアから中へと入っていった。
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