ラヴィ~四神神葬~
「・・・なんてね」
 張り詰めた空気を先に破ったのは、金髪の少年だった。
「あーあ、熱くなって。大人気ないね」

 エレベーター前のこの一角は、304号室からもナースステーションからも死角だ。 しかし騒ぎを起こすのはまずい―そう判断したか。
「オレ達は性格も価値観も別個の人間だけど、『憎しみと愛情は紙一重』ってところだけは共感していたのになぁ」
「俺とお前を同類にするな」
「当然だよ。オレは共通の認識について話しただけだ。お前とつるむ気は毛頭ない。ただ・・・」

 カツン、と靴音が響いた。

「敵であるオレがどうしてお前に情報を流したのか・・・知りたいんじゃないかと思ってね」

「てめえの気まぐれに付き合っているほど暇人じゃねぇ。お前に一つ忠告しといてやる。―さっきの言葉、そっくりそのまま返す」
 クルリと雅樹がきびすを返した。
「甘言なら使う相手を選ぶんだな」
 背中が少年を威嚇する。
「敵だろうが使えるものは利用する。お前が俺に共感しようが関係ない。俺はお前を信用してない」
「へぇ・・・」
「俺は一人でも目的を遂行する」

 花はいつか枯れても、花に込めた憎悪が涸れることはない。
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