ワガママ狼男と同居始めました。
狼男、遊びにいく。




文化祭の振休の日。


志木と丙さんが私の家に来た。
もちろん勝手口から。


「よお」


志木はいつも通りだった。


「叔母さんはもう旅に出たのか?」


「うん……。」


そう言うと、ヅカヅカ中に入り、お気に入りのソファーに飛び込んだ。


「文化祭のときは世話になったな。」


丙さんに話しかけられる。


「いえ……。とりあえず中に入ってください。」


丙さんにオレンジジュースを出す。



「今から、山に帰るよ。」


「え……そうなんですか……。」


「志木のこと、また頼むよ。」


「はい……。」



丙さんが優しそうに笑い、志木の方へ向かう。


「じゃあな、志木。
また手紙よこしてくれ。待ってる。」


「ああ……。元気で……。」



そうして丙さんは志木の頭を撫でて、勝手口から出ていった。






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