性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
シンデレラは性格が悪いのです。

昔々、あるところにシンデレラという美しい娘が優しい父と一緒に幸せに暮らしていました。

ある時、その父が再婚し新しい母と姉がふたり増えました。

しかしその母と姉たちはとても意地悪で、自分たちはとても綺麗に着飾っているのにも関わらずシンデレラにはボロボロの地味なワンピースを着させ、こき使っていました。


「シンデレラ、床を綺麗に拭きなさい」

「それから洗濯に炊事もよ」

「そうそう、それから靴も磨きなさい」

「……、………はいお母様、お姉様方」


母と姉たちが命令を下すと、間を開けてゆらりと頷く金色の髪をもつシンデレラ。

その髪は彼女の着ている服と同じようにボロボロで美しさが欠けていました。

床を黙々と拭いていると、カランッと軽快な音とともに置いてあったバケツが倒れ、床に水がこぼれてしまいます。


「…」

「ちょっとっ、こんなところにバケツなんて置かないでくれる!? ドレスが汚れるでしょうっ!」

「……申し訳ありません、お姉様」


しゃがんだままの体勢のまま深々と頭を下げると、フンッと鼻で笑い三人は去っていきました。


「……フフ」


三人が出て行ったのを確認すると、急に声を漏らすシンデレラ。

何が可笑しいのか、お腹を抱えて笑っています。

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