好きのおもさ

そして自分の部屋に戻ろうとした.


「待てよ」


するとさっきまで陽気な雰囲気を醸し出していた宇川くんが、急に真剣な表情をした.


「なに?」


「外・・・さっき雨止んでたのに、また朝のようにざーざー降り始めた.


だから雨宿りさせてくれない?」


宇川くんはまだこの家に居座ろうとする.


嫌なやつだ.



それに、雨なんかやんでなかったと思う.


今日1日ずっと降っていたと思う.


「今日はずっと雨降ってたはずよ.


1つも止んでないと思う」


「だってほら.証拠.


服そんなに濡れてないだろ?」


なんて言うと、濡れてない服を私に示す.


確かに上の方は濡れてない.


しかし服の裾とかズボンは濡れている.


「傘さしたからでしょ」


「いや、見てよ.


ここ濡れてないだろ」


次に彼は右足のズボンを示した.



< 76 / 471 >

この作品をシェア

pagetop