星屑ビーナス



その時、後ろからはガチャッとドアの開く音が響く。



「?、!」

「……」



誰か来たのかな、と振り向くとそこにいたのはなんと今一番会うのが気まずい相手…真崎さんの姿。

煙草を吸いにきたのか右手に煙草を持つ彼は、私がいるとは思わなかったようで驚いた顔でこちらを見た。



「ま、真崎さん…」

「なーに仕事サボってるんだよ。早くオフィス戻れ」

「…お昼休憩です。食べ終わったしもう戻りますよ」

「……」



すぐに視線を柵の向こうへと戻す私に、真崎さんはくわえた煙草に火をつけながら隣へと立った。



「……」

「…、」



吐き出される煙から漂う匂い。

見つめる街の中には、忙しなく歩く人々の小さな姿。



(…気まずい)



先程の出来事もあり、さすがに私も気まずさを隠せない。



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