星屑ビーナス



「ようやくいつもの顔になったな」

「…?」

「やっぱりお前はそうやって騒いでる方がいいよ。うるさいけどな」

「なっ!」

「けど、泣きたい時は泣くのも悪くないと思うぞ」

「……」





泣きたい時は、泣くのも



それは先程の

逃げ出した私への言葉





「まぁ俺は、笑ってるお前が一番可愛くて好きだけどな」



その一言とともにこぼしたのは、優しい笑顔。



「……」





笑ってる私が、一番好き



弱い、なぁ

この人の真っ直ぐな言葉

真っ直ぐすぎて時々向き合えないこともあるけれど

自分のことを好きにさせる嬉しい言葉



その一言に沈む心は一瞬で吹き飛んで、のしかかる重りを軽くしてくれる。


< 119 / 334 >

この作品をシェア

pagetop