星屑ビーナス



人前でこんなに泣きじゃくるなんて、いつもならしない。

今はきっと熱があるから、その大きくて優しい胸に安心感を感じるだけ。

心の中でそんな言い訳をしながら、彼にすがった。



心の中の塊が、溶けていくのを感じる

向き合うのは怖い

だけど、きっと大丈夫

その優しさが勇気になる





「…真崎さん、」

「?」

「ネックレス…外してもらって、いいですか…」

「……」



抱きしめる腕をほどいて、首元に触れる指先。そっと留め具を外し首からほどかれたネックレスは、私の手のひらへ置かれた。



「…、」



手のひらの上に輝く指輪を、涙で濡れた瞳で見つめる。



きっともうこの指輪を身につけることはないだろう。指にも、首にも。

漠然とそう思って握り締めた私に、彼はまた体を抱き締めた。

先程より優しく、包み込むように



「……」

「…、…」




そのぬくもりと優しさが嬉しくて、胸に甘えてまた泣いた。



込み上げる愛しさも、熱のせいにして。








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