星屑ビーナス



「暑くなり始めでくずれにくいファンデとかほしくなるし、下地とセットでも売れます。少し早い人ならUVも気になり出す頃だし!」

「春色で並べた方が季節感も出るし女はそういうシーズン物に弱い。インパクト勝負の売り場の大事な面を、ファンデみたいな肌色一色に使えるかバカ」

「バカ!?機能性を売りにするのはうちの会社の特性じゃないですか!ファンデだって肌色だけじゃなくてオークルやライトオークルとかいろんな色があるし…」

「じゃあ想像してみろ。売り場で一番に目につくところに肌色がズラッと並ぶのとピンクや紫の明るい色が並ぶの、お前ならどっちに目がいく?」

「なっ…それは、その…」

「明るい方だろ?なら勝負あったな。来季春の店頭打ち出しは第一商品企画部提案のアイシャドー企画で。いいですね?部長」

「あぁ、いいよー」

「っ〜…」





今日もまた旗はその男にあがり、私は負けるわけだけれど。




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