星屑ビーナス



「…けど、いいんですか?こんないい指輪…もうすぐ結婚指輪買うのに」

「いいんだよ、それは俺の気持ちと男としての意地なんだから」

「真崎さんの、気持ち…」

「それに結婚指輪は二人の物だから、一緒に選びたいからな」

「…はい、」



彼はそう穏やかに言っては、両手で私の顔を掴む。



「お前はいちいち周りの言葉に揺らぎすぎ。どうしようもない悪口なんて聞くな、流せ」

「うっ…」

「俺はちゃんと、知香のことが好きだよ。気の強い所も、こうして泣く所も…笑顔も。時々生意気でムカつくけどな」

「…、」

「けど、そういう所すらも可愛いって思うよ」



そして、愛おしむようにコツンと合わせた額と額。



「…こんなに好きにさせたんだから、責任とれバカ」

「……」



浮かべて見せた少し照れた顔に、三ヶ月恋人として過ごして知ったことがある。

彼は相変わらず真っ直ぐで、だけど甘い言葉はあまり口にすることはない。

言う時はほんの少し、目を合わせることを拒む。恥ずかしそうな照れ臭そうな、それを隠すように少し不機嫌そうな顔をしてみせたりして。



それら全て、私だけが知っている表情

愛しい、愛しい存在




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