星屑ビーナス



「和泉さんは、悠のことが嫌いだよね」

「嫌いじゃないですよ。気に入らないだけで」

「そうきたか。…まぁそうだよね、可愛い奥谷さんを奪っちゃった男だもんね」

「…どういう意味ですか?」

「俺にはどちらかと言うと彼女が和泉さんにべったりしてるように見えて、和泉さんが彼女にべったりに見えてるんだよね」

「……」



優しい顔して核心を突く、彼は絶対いやらしい男だと思う。

そんな言葉にも私はしれっとした顔で答える。



「そうかしら。付き合いが長いからそう見えるだけじゃないですか」

「あれ、そういえば二人って大学から一緒なんだっけ」

「えぇ。大学一年の頃から」



道を行く車の窓から見上げた空には、青空に夏の雲が広がる。

思い出せば、始まりはこんな夏の日だった。





『隣、座っていい?』





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