恋の相手はお隣さん。


「へぇ? いつもそれくらい聞き分けがいいといいけどな」

私の罪悪感を拭って、ニヤリと笑みをみせた響はやっぱり大人で。腕の痣の意味も、キスの意味もわからずに、ただ駄々をこねるだけの私は、やっぱり子供だ。

「でも私、すぐに響に追いつくから……だから、待っててね」

いつまでも、あやされるだけの子供じゃないから。ちゃんと、響と対等になれるように、頑張るから。
私の宣言を聞いた響は、さも面白いと言いたげな顔をすると口元を歪ませた。

「俺は気が長い方じゃないんだ」
「……待ってて損はさせないもん」
「それはそれは。まぁ、精々期待させてくれよ?」

瞳を伏せて微笑した響の顔に、きっと待っててくれるって確信できた。
キスの意味をちゃんと知りたい。
響の気持ちがわかるくらい、大人になりたい。余裕を崩すくらい、翻弄できるようになりたい。
もしそうなれたら……響はどんな顔をするんだろう?
必ず大人の女になって、響の隣に立つんだから。それまでは何があっても、絶対に諦めないんだから……!


< 26 / 56 >

この作品をシェア

pagetop