【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー

常夏の楽園は色褪せない

山入端邸を勢い良く飛び出したは良かったけど、私はどこに向かっていいのか分からず、冷静になってキョロキョロと辺りを見回す。



どこで何やってるかなんて、思えば全然知らない。私は性格以外のことを、何も知らないんだよ。



「どこにいるの…………雅治!」



夢の中で感じたあのゴツゴツの掌と、雅治のホッとする独特の香りと、笑顔で何かを囁いた映像が頭を巡る。



そうすると、無性に泣きたくなってしまうんだ。



「って…………泣いてる、場合じゃないでしょ!」



両頬をパシン、と叩いて気合いを入れて、私は再び走り出す。



とりあえず、家に行こう。もし本人がいなくても、誰かがどこにいるか知ってるかもしれない。



ずっとまっすぐに、不器用に気持ちを伝えてくれた雅治に、今度は私がこの気持ちを伝えるんだ。
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