君のイナイ季節
それからは。

廊下などで高槻さんに会うことが多いんだけど。

睨まれたり、暴言吐かれたり。



私、何にも彼女にしていないんだけど。

彼女の存在を知ったのも最近だし。

何が何やら、訳がわからない…

嫌だな…



「真由ちゃ〜ん!」

廊下で私を見つけた拓海くんが走ってくる。

「どうしたの?」

「見てみて!!」

拓海くんの持っている物を広げてみると。

なんと。

レースフリフリの可愛いエプロンが。

「家庭科で作った!」

拓海くんは3年の選択授業で家庭科を取っている。

案外、この授業を選択する男子生徒は多い。

家庭の先生で私のクラブの顧問、能勢先生は可愛くて優しいから、人気があるのもあるんだけど。

「うわあ、可愛い!!」

思わず叫ぶ。

「本当はシンプルな物を作るはずだったんだけど、もし誰かにプレゼントするならこういうのもOKって言われたから」

拓海くんは笑った。

「あげる、真由ちゃんに」
< 112 / 205 >

この作品をシェア

pagetop