君のイナイ季節
「ピットウォーク?」

私の言葉に拓海くんは首を縦に振る。

「今回は決勝でそーちゃんも僕もレーシングスーツを着て出るから真由ちゃんもパラソル持ってて立ってて欲しいんだ」

ファンと触れ合う一環でちょっとサービスを多くしよう、というチームの意向との事で。

私も頷くしかなかった。



予選のピットウォークではバイクだけを前に出していて、私が2台の間で立っていた。

カメラを持った人が多数、写真を撮りに来て、拓海くんはずっとそわそわしていたらしい。


本当に心配性だなあ。



でも。

確かに。

後でパドック裏にいたら。

色んな人に話し掛けられて、電話番号を聞かれたり。



拓海くんが走って来て、私の腕を引っ張って走って逃げた。
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