君のイナイ季節
「あんまりいい結果じゃなくてごめんね」



帰りの車の中で。

拓海くんは申し訳なさそうに呟く。

私は首を横に振る。

頑張っている拓海くんの成績を。

とやかく言える訳がなくて。

結果よりも。

大好きなバイクに触れている拓海くんが。

イキイキとしているのが私には一番だった。

何も、一番を取ることだけが、レースではない。


今年はクラスもステップアップして、感覚を掴むのに大変だったと思う。

それでも。

今の段階でこれだけ頑張れたのだから。

よくやったと思うよ。
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