城跡に咲く花〜使用人×王女〜
国民の不満がとうとう火を吹き、反乱が起きたのが数日前のこと。

僅かな時間で城は陥落寸前となった。


ただひとり、国民を思いやらない父王に苦言を呈し続けた王女。

彼女に忠誠を誓う数人が最後にそばに残っただけで、城内にはもうほとんどひとはいない。

捨てられた王城は音を立てて崩れ続け、終わりが刻一刻と近づいてきていた。


「みながここを見捨てる中、いまこのときまでここに残ってくれたこと…感謝する」

ユリアは穏やかな表情で周りを取り囲む者たちを見渡した。

「だが、お前たちは未来に必要な人間だ。…どうか生き延びてほしい」


「…あなたさまになんの責があるというのです…」

やり切れない様子で呟く侍女に、彼女は悟り切った表情で告げる。

「すまない……。父上を諌められなかったわたしにも責任がある」
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