城跡に咲く花〜使用人×王女〜
彼女は天井を見つめたまま口を開いた。

「…生まれ変わったら、また逢えるだろうか?」

「………生まれ変わったら?」

「そう。いつかの未来に」

グレンと向かい合って微笑む彼女は、いつになくどこか頼りない表情をしていた。


「…生まれ変わりなど本当にあり得ることでしょうかね」

「夢がない奴だな」

眉間に皺を寄せて、ユリアは不満気に言う。

「できるさ。わたしを誰だと思っている」

「……確かにユリアさまならなんでもできそうです」

「お前もここまでふてぶてしければ可能だな」

声を上げて笑い合って、ユリアは瞳を閉じた。


「今度も王女とは限らないな。…ただの町娘かもな」

「…王女でないユリアさまなんて想像つかないですけどね」

「…なんでもいいさ。だけどグレン、…」

ユリアがグレンの服の裾を掴む。


「生まれ変わったら…今度はお前を諦めない」
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