それでも、僕は恋をする。
大仕事を終え、校舎を出たその足取りは、重かった。
つい、ため息がもれる。
わかっていて人を傷つけるのは、つらい。
だけど、ああしてあげるのが優しさだと、僕は信じている。
その時、後ろから肩をぽんっと叩かれたので振り返ると、不敵な笑みを浮かべている木戸拓矢がいた。
「よお。色男」
「え?」
「さっき、告白されてたろ。渡り廊下で」
拓矢は、にやりとして僕を見た。
「見てたの?」
「見えたの」
「あ、そう」
「お前、あの子で今年何人目?」
「……3人目」
呟くように答えると、拓矢「はぁあ」と間の抜けた声を出した。
「罪な男だな。あんなかわいい子振るなんてさ」
「放っといてよ。振る方もそれはそれでしんどいんだぞ。なんか、悪いことしてるみたいでさ……」
さっきのつらそうな女子の顔が頭をよぎった。