この運命を奇跡と呼ぶならば。
「待って!桜ちゃん!!」
「え?総司!来ないで!!」
桜は桜の木のある丘に向かう道を駆けていた。
「待ってって!」
「嫌よ、来ないで!!」
桜は沖田を撒(ま)こうとスピードをあげたが、沖田も桜のスピードに合わせて走ったので、桜の木のある丘に一緒に来ていた。
「桜ちゃん、どうして待ってくれないの?」
「…今夜は満月だから。」
「満月だから…?」
沖田が不可解そうな顔をした瞬間、桜の額に蕾が開くように紅桜色の紋章が浮かぶ。そして、そこから蔓が巻き付くように首や腕、脚にまで広がる。
「見ないで!!」
「…さく、らちゃ…ん?」
桜が沖田に向かって言うと沖田は呆然と立ち尽くして桜の名前を呟いている
「だから、来ないでって言ったのに。」