この運命を奇跡と呼ぶならば。

すると、沖田がいきなりしゃがみ込み激しく咳き込み始めた。桜は慌てて駆け寄ると背中をさすり始めた。


「ご、めっ…ゲホッゴホッ…ゴホッ、ゴホッ」

しばらく背中をさすっているとだいぶ落ち着き咳もでなくなった。が、桜は顔面蒼白になりながらへなへなとその場に座ってしまった。


「…大丈夫?」

「怖かった。総司が、死んじゃうんじゃないか。って…怖かった。」


「…ごめん。」

沖田は手を伸ばして桜を立ち上がらせそうとしたが血まみれの手を見てパッと引っ込めると、目を伏せた。

「私こそ、ごめん。屯所に戻りましょうか。」

「そうだね。」

二人はそう言うと屯所に向かって歩き始めた。だが、二人の間には気まずい空気が流れていた。
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