光 (ver.2005)

第9夜・川端国男(5)

2005/12/15(木)

寒い。
近年ないほどの大寒波が押し寄せてきているのだという。

ミドリとはまだ連絡がつかない。
今日で4日目になる。
何かあったに違いない。

岡野さんやアキラにも聞いてみたが、二人とも何も知らなかった。
子供じゃないんだから、それくらいで心配するなんてばかばかしいとさえ言われた。

何にもわかっちゃいない。

ミドリは普通とは違うんだ。
心配するなというほうがおかしい。

それに彼らは何か隠しているようだった。
僕に対して、ひどく言葉を選んでいるような感じを受けた。
会話したのは電話でだったが、だからこそ、なおさらそう感じた。
音だけのほうが伝わりやすいこともある。感じやすいこともある。
光よりも、音のほうが、雄弁に真実を語ることもある。

年末だけあって、会社が忙しい。
そのせいでミドリの家には、あれっきりいっていない。
土曜日に行ってみようかと思う。

だれも電話に出なかったからだ。

もしかしたら、あの家にはもう誰も住んでいないのかもしれない。

何故だ。
何故、僕に一言も告げずにミドリは姿を消してしまったのだろう。

僕との関係が嫌になってしまったのだろうか。

もしそうなら、それはそれで仕方がないと思う。
でも、仮にそうだとしても、はっきりとミドリの口から聞きたい。
でなければ、納得なんか出来るはずがない。

明後日、ミドリの家に行く。
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