罪線〜an imitation〜
「う……うわぁぁぁ!!」


俺は、ニタニタと笑う平岡を尻目に、その場から逃げ出す。


「逃げても無駄だからね」


平岡が口に手をあてて言う。

……五月蝿い。何が逃げても無駄だ。

平岡。お前も知っているだろう?

外には此処を見張ってる警察がいる。そこまで行けば奴らが助けてくれる。


「はぁ……はぁ……」


大した運動量ではないが、興奮しているのも手伝って、異常に息が切れる。


「はぁ……はぁ……」


もう少しだ。もう少しで助けてもらえる……。

しかし平岡が警察に対して、こう叫ぶ。


「ねぇ!そいつ抑えてよ!」


バカか。警察がお前一人の言葉を聞き入れる筈がない。


……しかし、俺の踏み出したこの道は、もう後戻りの出来るものではないらしい。


「……!?……離せよ……離せ!」


「すまないな……」


あの男……平岡は、本当に世の中の根底を、自分の手で変えようと言うのか……。


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