301号室、302号室、303号室





ちいちゃい頃からの夢を叶えた大物は、周りからすごいと言われ持て囃される。

ちいちゃい頃からの叶うかも分からない夢にしがみつき、周りから無謀だと笑われ、けなされるその他大勢の中に、私はいた。


歳を重ねるごとに、その悪あがきが笑えなくなってくる。


夢を諦めず、追い求める人は格好良い。

世間がそう口にするのは、夢を叶えた一握りの人間に対してだけだ。



夢を諦められないやつはカッコ悪い。

子供の頃の私は、そんなこと、知らなかった。
子供の私に、大人たちは教えてくれなかったんだ。



まあ、10代の頃から薄々感じてはいたけどね。
思春期なんて、周囲の自分に対する態度に、一番敏感な時期なんだから。

でも、いよいよ今の今まで、はっきり言ってくれる人はいなかったよ。




今日も六畳一間の真ん中で、膝を抱えて泣いている。



荒井涼子




21の冬。






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