少年Kと少女Sの奮闘記


高校入学して間もない頃。
新しい友達もそこそこ出来、中学時代から仲の良かった皐月が同じクラスであったお陰か私の高校生活の出だしは好調だった。
皐月の執拗な推しにより美化委員へ任命された私が、初めての委員会に参加していた時のことだった。

早めに教室に入ってきたからか、席は自由に選べ窓際へと腰を下ろした数十分後。
ほとんどの席は埋まり、委員会会議が始まろうとした矢先に草野君が早足で教室へと入ってきた。
勿論当時の私は草野君を知らなかった。
教室に男子生徒が入ってきた程度の認識で、たまたま空いていた私の隣の席に腰を下ろしてきた時も「席が空いてなかったから座ったんだな」として思っていなかった。

挨拶をすることもなく始まった会議は、堅苦しいわけでもなく担当の教師も美化委員の委員長である3年の先輩も場を盛り上げてくれるような楽しい会議だったことを覚えてる。

会議の一環で、委員長が「隣の人と校内美化について案を出し合って下さい。」そう言ったことが、私と草野君との初めての接点へと繋がった。

委員長に言われて初めて草野君を見た時、随分と整った横顔をしていると思った。
草野君もまた私のほうへと視線をずらし、黒縁眼鏡のレンズ越しに私を視界へと捕えた。

あ、この人かっこいい。

かっこいい人と案を出し合えるなんてとてもラッキー。そう思った私を草野君は一瞬にして叩き落とした。


「…はぁ。」


そう、草野君は私を見るなりすこぶる嫌そうにでかでかとため息を零したのだ。
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