シュガーレスガール
「 薫くーん、こっち来てー 」


そんなことを考えてその場に突っ立っていると
ふと緋依子さんが俺の方を振り返り、俺を呼ぶ。

テーブルに近づいていくと、緋依子さんの後ろでは
七瀬さんが何やら意味ありげな笑みを浮かべている。


「 …なんですか 」

「 不機嫌そうだなー、どした? 」


なんて言いながら七瀬さんはニヤニヤ。


「 薫くん呼んだので、あたしはこれで 」


そう言って、緋依子さんは軽く一礼して席を外した。
そして自動的に七瀬さんと俺のツーショットになる。


「 …薫、お前 惚れてんだろ? 」

「 っ!? 」


何を言うかと思えば。唐突にいきなりソレ。

七瀬さんは まあこっち来て座れよ、なんて言って
仕事中の俺を無理やり自分の正面に座らせた。


「 で?どうなんだよ 」

「 どうって… 」

「 まあ、可愛いよな。ひーちゃん 」

「 ひ、ひーちゃ…っ!? 」


思いっきり動揺する俺を見てケラケラ笑う七瀬さん。
冗談だよ、と付け足すところは大人の余裕が見える。


「 応援してやらんでもねえよ? 」

「 七瀬さんの助けは借りません 」


ピシャリと言い放って席を立ち厨房へと歩き出す。


「 あっれー?いいのかなあ? 」


後ろからまた声が聞こえたが、言葉を返す気も起きなかった。



< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop