クール上司と偽装レンアイ!?
「忘れものないか?」

朝の支度に手間取る私に、すっかり用意を終えた葵が言う。

「うん、多分大丈夫」

「もう一度確認しろよ。彩はうっかりが多いんだから」

「え……うん」

そんな事無いけどと思いつつ、言われた通りバッグの中身をチェックすると、入れたはずのスマホが入っていなかった。

「あれ?」

慌てて探し、結局ベッド脇のテーブルで見つけた時には、葵に言われていた出発時間を10分も過ぎてしまっていた。

「ごめんね、間に合うかな?」

月曜から遅刻なんて絶対に避けたいのに。

しかも葵まで道連れにしてしまうなんて。

落ち込みながら言うと、葵はクスっと笑って私の頭をそっと撫でた。

「大丈夫。出発時間少し早めに言っておいたから」

「……こうなるって思ってたの?」

それはそれで複雑な気分だ。

「ああ。彩、要領悪いもんな」

でもそんな駄目だしも葵の優しい目を見ていると気にならない。

からかうような言葉の中に、深い愛情を感じる。

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