クール上司と偽装レンアイ!?
「皆さんと働けて本当に良かったです」

適当に挨拶例文から拾って来た台詞だったけど、今心からそう感じていた。

何事も上手く出来なかった私だけど、今日まで一緒に働いてくれた皆に感謝の気持でいっぱいになる。

どうして私はこんなギリギリの時になって、こんな気持になるんだろう。

同情されたくないとか、ちっぽけなプライドなんて捨ててもっと素直になれてたら…最後の一週間をもっと違った気持で過ごせたのかもしれないのに。

「本当はみんなと一緒に購買部の仕事が続けたかった。私もバイヤーになりたかった……心残りな事は有るけど、でもここで過ごした経験を活かして次の部署で頑張ります。今までありがとうございました」

最後は自分でも何を言ってるのか分からない、今の気持をただ訴えただけになってしまった。

それでも心を込めて頭を下げると、予想していなかった大きな拍手が起こる。

「広瀬さん、寂しいです！」

酔っ払って顔を赤くした新入社員がしがみついて来る。
気がつけば、先輩達も私を囲んでくれていた。

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