たったひとりの君にだけ
「わかってるよ、気を付ける」
「約束だからね」
「はいはい。で、瑠奈はいつから広島?」
照れを隠すようにさらっと話題変更をして、中心を彼女へと移行させた。
これ以上心配されると、性格上むず痒くて仕方ない。
「えっとね、実家には30日に帰るんだけど、明日明後日は名古屋と大阪に一泊ずつするんだ。高校の友人に数年振りに会っておこうと思って」
「へぇ」
「で、大阪の友人と一緒に広島に帰省ってわけ」
大阪で食い倒れるんだ、と自慢げに言いながら、目の前のオム焼きそばとチーズつくね、更にはゆず塩唐揚げも大半を食べ終えていた。
それほどお腹が空いていたわけでもないから、平らげてくれるのは非常に助かる。
食べ物は粗末にしてはいけません。
でも、この後も確か、キムチチャーハン(ハーフサイズ)とミニもつ鍋が運ばれて来るような気がする。
スレンダーな体の何処にそんなに大量に食べ物が入るのだろうか。
想像しただけで軽く吐きそうだ。