たったひとりの君にだけ

計り知れない、未知の鼓動。
視線の先には彼の顔。

覗き込まれていた。


「大丈夫ですか?」


本気で心配している彼を、超がつく目の前にして。
留まることを知らず、加速の一途を辿る私の中枢。


大丈夫じゃないよ。

全然大丈夫じゃない。


「だ、だいじょうぶ……」

「そうですか?よかった。すみません、気を付けますね」


声が震えた気さえした。

必死に平静を装った私とは真逆に、彼はいつもの笑顔を見せつける。


全然よくない。

いいわけない。


洗い物を再開した彼を真横に。
受け取ったお皿を落としそうになっている私はきっと。
見るも無残な、複雑な顔をしていると思う。


瑠奈、どうしよう。

あんたの予言通りだったみたいだよ。
一週間前、涙ながらに泊まっていったあの日の、あんたの予言。


心臓がうるさい。
早くおさまってよ。

わかってたの?

こうなること。
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