たったひとりの君にだけ


指定された先。
café“キオナ”。

会社の真ん前に位置しても、訪れるのは正真正銘初めてだ。


窓側、二人掛けの最も出入り口に近い席に、スーツ姿の樹はブラックのノートPCを開いて座っていた。

もっと人目のつかない隠れた場所を選んでくれたらよかったのに。

ったく、気の利かない男だ。
< 89 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop