あたしの心、人混みに塗れて
「別にめんどくさいとは思ってないよ。ただ、いつも一緒にいるから、デートって改めて出かけなくてもいいかなとは思う。蒼ちゃんとは昔からよくお出かけしてたし。まあでも、今もたまになら一緒に外に出たいとは思うかなあ」

「そっか。ともって今もあまり外に出ないもんね。まあ俺も、いつでも外に出てたいってタイプじゃないしね」

「バスケ部のくせに」

「運動するのと外に出かけるのは違うよ。俺はともとならどこでもいいって思うんだ。俺とデートした子達はね、みんな俺のことアクセサリーだと思ってたみたい。要するに見せびらかしたかったんだよ。私は今この人とデートしてます、この人の隣にいます、みんな羨ましいでしょ? って優越感に浸ってるだけ」

「わかるの?」

「なんとなくね。もしくはデートっていう設定に舞い上がってるだけかな。それを見たら、デートって何かなって思った。だから余計かも」

「蒼ちゃん、それって自分がモテるってこと自覚あるってことだよね」

「まあ、人より告白される方だとは思ってるよ。一応、そこまで鈍くないし」

「そりゃどうも」


まあでも、どうしてモテるかはわかっていないだろうな。蒼ちゃんからしたら、普通に接しているだけだから。


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