Under The Darkness




「必ず、私は貴女を手に入れます」




 拒絶される『愛』などではない。

 別のもっと強い想いで、貴女を、貴女の魂ごと全てを絡めとるために。


 悪魔が天使を拐《かどわ》かし堕天させるように、美しく清らな彼女を、私が堕としめ手に入れてやる。

 愛などといった妄想ではなく、もっとリアルで生々しい、原初の本能に基づく感覚、罪悪感、抱えきれないほどの負の感情で、逃げられないよう縛り付ける。


 私は美里さんを抱きしめた。



 ――私はこれから嘘をつきます。


 たくさん、たくさん――自分の気持ちさえ騙してしまうほどの嘘を、貴女につきます。


 だから、今だけ。 


 この日以降封印することになる真実の言葉を、私は美里さんの耳元に、何度も何度も、繰り返し囁いた。



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