Under The Darkness





「ふふ、ほんまに京介君は自分勝手で傲慢な男やで。それにアンタは、どうしようもなく人畜有害な危険人物や。お父さんの顧問弁護士になるべく法の力も手に入れた、今や無敵の悪モンやしな? ほっといたら人様のご迷惑になること間違いなしやろ? だから姉である善良な私が、一生かけて、片時も離さず、京介君を監視してやる」


 京介君の告白に、私を縛り付ける理性の楔が外れてしまった。

 堰き止めていた想いが濁流となって溢れ出し、もう、止められない。

 京介君はきっと、私の独占欲でがんじがらめにされてしまうだろう。


 京介君が私に深い想いを刻んだように、私も貴方に、深く、拭えないほどの刻印を刻み込んであげる。

 そのときに後悔しても、もう遅い。

 絶対に離れてなんか、やらないから。



「貴女はどうして素直に『愛してる』って言えないんですか?」



 苦笑しながら「でも、意地っ張りでプライドの高い貴女らしい答えです」そう言う京介君の唇を、私は掠めるようにして奪ってやる。



 そして、京介君は、そのまま私の身体をゆっくりと押し倒した。




             end
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