Under The Darkness




 京介君に掴まれた腕を引き剥がそうと、再び藻掻いた。

 もうなり振り構ってられなかった。

 私は視界に入る通行人に視線を流す。

 そして、大声で叫んだ。


「……助けてっ! だれかっ!! だれか助けっ……ふぐっ!?」


 京介君は、大声で騒ぐ私の口を掌で覆い隠すと、止まっていたタクシーに素早く乗り込んだ。


 タクシーの運転手に行き先を告げる彼の指先が、私の喉の側面をグッと押さえる。

 私を助けてくれないかと、運転手さんに助けを求めた。視線で、助けてと訴える。

 けれど、ビクビクとしながら、運転手さんはこちらを見ない。


 ――イヤだ、イヤッ! 助けて、助けてっ!


 だんだん意識が遠くなってゆく気がした。

 力が抜けてゆく。

 まるで、薬を含まされたように、頭に靄がかかり出す。


 ――なんで!? なんで……!


 首の側面を押す京介君の指先に強い力が加わる。

 その時、過去に栞ちゃんと話していた会話を思い出した。

 走馬燈のように中学の休み時間に話した会話が蘇ってくる。



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