この恋、国家機密なんですか!?
なにそれ。
やめれるものなら、今すぐやめたいよ。
次の仕事が見つかるまで、なんて言わないで。
援助なんて言葉、いったいどこから出てくるの?
ひどい……。
「……宗一郎さん……私は、いったいあなたのなんなの?」
ずっと、面倒見てくれるって、そう言ってくれたら。
宗一郎さんのお嫁さんにしてくれるって、そう言ってほしいのに。
情けなくて、涙が溢れてきた。
鼻をすする音が聞こえたのか、宗一郎さんは黙ったまま。
「本当にお仕事なの?宗一郎さん、本当は……」
『本当は……なんだ?』
「他に彼女とか、奥さんとか、いるんじゃないのっ?」
ストレートに聞くと、宗一郎さんはまた黙った。
ドキドキと暴れる胸。
そうだよって言われたら、どうしよう……。
自分で聞いたくせに、不安がつのる。
やがて聞こえてきたのは、かすかにいら立ったような声。
『……いるわけないだろ』
希望通りの否定の言葉だったのに、私は笑えなかった。
怒らせちゃった……。
何も言えなくて、ただ泣いてばかりいると、やがてむこうから大きなため息が聞こえた。
『すぐに行けなくて、すまない。とにかく知り合いに、行ってもらうようにするから』
「ま……っ」
返事をする前に、電話は切られてしまった。