ラスト・ジョーカー

12

*第五章 二人のひとりぼっち 12*



 真っ白な砂の雪原の上を、続く足跡が二つ。



「結局、芽利加は〈トランプ〉を辞めたんだって」



 赤い髪を揺らして歩くエルが言った。



 その後スメラギに聞いた話によると、結局あの「黒いもや」にPKを吸い取られて、境界師のなかに体調不良者が続出したが、幸いにして重症者はなかったらしい。


芽利加も同様で、念のため二日ほど入院したが、たいした不調はなかった。



 だが、芽利加は退院後すぐに〈トランプ〉を辞めてしまった。


病気の恋人にできるだけついていてやるために、病院の近くで新たな職を探しているそうだ。



 芽利加の恋人の病気は、今は治療法がないと言われているが、〈裁きの十日間〉以前には治療法があったと記録があるらしい。


スメラギの指示で、文明復興機関〈トランプ〉日本支部は今、総出でその病気の治療法を探しているという。


スメラギが、必ず見つけてみせると芽利加に約束したんだそうだ。


撃たれたというのにお人よしな話だと、エルもゼンもすこし呆れた。



 アレンとウォルターは引き続き〈トランプ〉のジャックとして、スメラギの下で忙しく働いている。


芽利加が抜けたことで空いた副局長の座にどちらかが収まると思っていたエルだが、どうやら他の局から新しい副局長が赴任してくるらしい。

アレンの出世はまだ遠い。



< 256 / 260 >

この作品をシェア

pagetop