愛を知る小鳥

そんな2人にとって、今日はほんの少しだけ特別な日。
彼らが夫婦となってから、ちょうど10年という節目の日だ。

せめて節目となる今日くらいは夫婦水入らずで過ごしてほしいと、潤の家族が子守を買って出てくれて今に至る。
日々を忙しく過ごす2人へのささやかな贈り物だそうだ。

しかも子ども達は潤の実家へお泊まりで、丸一日子どもの手が離れるのは結婚して初めてのことだった。

長男はもうすぐ9歳に、末の子は2歳に。
10年前まで絶縁していたのが嘘のように、今ではすっかり良好な関係が築けている。

可愛がってくれる祖父母の存在だけでなく、亜紀の子どもである従兄弟とも大の仲良しなこともあって、子ども達も遊びに行く時は大喜びだ。

親を伴わないお泊まりにどれだけ愚図られるだろうと構えていたのだが、実際には拍子抜けするほどにあっさり見送られてしまった。

嬉しいようなちょっぴり悲しいような、何とも贅沢な悩みだ。

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