愛を知る小鳥
珍しく俯いて美羽が言葉に詰まる。潤はその顔をじっと見つめた。
美羽はしばらく考えた後、潤の目を見据えて弱々しく答えた。

「これが私だから…としかお答えできません」

「…そうか。ならばそのままでいい」

いつもとは違う美羽の様子に疑問を感じつつ、あまり深くは考えずに美羽の頭にポンと手を置いた。その瞬間美羽が大きくビクッと反応する。まるで固まったかのように潤の顔を見上げて動かない。

「…おい? 大丈夫か?」

たかだか手を頭にのせただけ。しかも一瞬。それなのにこの反応は…?

「…あ、…すみません。急だったのでびっくりしてしまいました…」

子どもにするようにただ手をポンとしただけで?
そんなに大袈裟にしたわけでもない。
やはり先程から美羽の様子がいつもと違う気がする…
だがそれを考えたところでどうにもならない。

「ならいい。とにかく明日は宜しく頼む」

「はい、少しでもお力添えができるように精一杯勤めさせていただきます」

潤の言葉に一瞬ホッとした表情を見せ、一礼して部屋を出て行った。



「香月美羽…か」



その扉を見つめながら呟いた言葉は彼しかいない部屋に静かに消えていった。
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