だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版

必要...ヒツヨウ






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窓の外の雨の音に目を覚ました。

雨は、しとしとと静かに降っている。

気が付くと、汗だくの身体は寝る前よりもかなり楽になっている気がした。




どれくらい寝ていたんだろう。

ぼーっとした頭で時計を探す。

まだ起きたばかりで上手く壁の時計にピントを合わせられないので、仕方なく携帯電話を探す。


確か枕元に置いて寝たはずなので、手当たり次第さわってみる。

硬く冷たい四角形を探り当てて、時間を見る。




今は午後三時。

大分眠っていたみたいだ。




夢の中で、色々な事を想い出していた。

つい最近のことも、十年以上前のことも。



会社の方は大丈夫だろうか。

そんなことを考えていたら、メールがきていることに気が付いた。

一通のメールを開く。




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送信元:南水鳥
件名:大丈夫?
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体調は大分良くなった?

会社の方は何とかなっています。

って伝えろと部長に言われました。



シグがいないとみんな元気がないみたいよ。

でも、たまにはいい休養になったんじゃないかしら。

最近、シグに頼りっきりだったのが祟って、みんな事務作業に四苦八苦しています。


どうせなら明日も休んでしまいなさい。

そして、みんなに仕事をさせるのもいいわ。

シグは面倒見が良すぎるから。


今日の夜、様子を見に行くから大人しくしてること。

では、また夜に。
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チームのみんなに申し訳ないと思いつつ、自分がいないと大変と言われるのは少しだけ嬉しい。

役に立てていた事が、本当に嬉しい。

早く体調を回復させて、会社に復帰したいと思った。



夜には水鳥さんが来る。

軽くなった身体で起き上がると少しふらついたけれど、着替えて少しだけ部屋を片付けよう。


そして、元気な姿で出迎えようと思った。




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