だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版
紅雨

休養...キュウヨウ






季節はもう夏が近づいていた。

春と言うよりも初夏に近いんじゃないだろうか、と思うくらい暖かい。


会社も新年度が始まり、社内の雰囲気は一気に明るくなった気がした。




それなのに。




何でこんなことになってしまったんだろう。


久しく風邪なんて引いていなかったので、完全に油断した。

しかも、こんな忙しい時期に。




一週間後にはブライダルフェアが開催される。

今年は運営本体ではなくあくまでもオフィシャルパートナーなので、会場の手伝いがメインになる。

広告等を来年の資料にして保存する為に、カメラで写真を撮ったりするような雑務に走ることになるだろう。


第二本部を任される尾上部長と、その秘書業務を担当する水鳥さん。

チーフ担当の櫻井さんは、メインスタッフとして稼働することになる。

森川以下営業と私は、バックステージ担当になっていて伝達係としての業務に割り振られていた。


現場稼働するのが元々嫌いではない私は。

実は楽しみにして浮かれていたりしたのだ。





それなのに、私ときたら風邪で寝込んでしまった。

こんな時に寝込むなんてほんとに最低。


こんなことになるなら、この前櫻井さんにあんなに怒鳴るんじゃなかったな、と後悔した。






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