翼~開け放たれたドア~
「雷」

「…龍也……」

「こいつらには言うべきなんじゃねぇか?」

「…わかってる」

雷さんは息をついた。

まるで、言うことで自分を傷つけるような、そんな表情で。

龍也さんはそんな雷さんの頭を

「いってぇ!!」

バシッとはたいた。

「っにすんだよ!龍也!」

「んなしけた面(つら)してんじゃねぇよ。
いつものバカなお前はどうした」

「バカで悪かったな!
言っとくけどなぁ!
バカって言ったほうがバカなんだよ!
覚えとけ!!」

…その発言だけでも十分バカだと思う。

失礼かもしんねえけど。

龍也さんは、ギャンギャン騒ぐ雷さんにふっと笑い、

「…それでいい」

雷さんの頭を撫で回して、グシャグシャにした。

雷さんの動きが止まり、龍也さんは雷さんの頭から手を下ろす。

「俺はお前を責めたりしねぇし、お前がいたから春輝さんに会えたんだ。
だったらそれでいいじゃねぇか」

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