翼~開け放たれたドア~
あっちはまぁ、誘ったって時点で、俺が神崎組だとは知らないってことだから、言うこと聞いといて、時がきたら篠原組を潰そうという話になった。

つまり、内側から潰していこうってことな。

危険なのは目に見えていたが、いつかはやらなきゃいけねぇことだったからな。

俺はやることにしたんだ。





あの人に頼まれたのは、他の組のやりとりを調べ上げたり、族のことを報告したりとかだけだった。

俺はおかしいと思った。

こんなことだけなら、俺じゃなくてもいいんじゃねえかってな。

俺だって一応パソコン使えるし、ハッキングも一通りできるがよ、俺なんかよりも良い奴はいっぱいいた。

だが、そんなことも言えるはずがなくてさ。

そんな調子が5年くらい続いた頃だった。

“お前に頼みたいことがあるんだ”

そう言ってあの人がニヤリと笑ったのは。
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