翼~開け放たれたドア~
何にも映さない紺色の瞳。

何色にも染まらない白い髪。

なのに……真っ黒に見えて──

背筋が凍った。

身体が。

心が震えた。

“……来いよ”

気づいたら、

“一緒に行こう”

手を差し伸べてた。

“…あんた、何考えてんの”

訝しげに俺を睨みつけてくるそいつにヅカヅカと歩み寄ると

──グイッ

“なっ…!”

腕を掴んでドアへと向かったんだ。

“…私を、どうするの”

“どーもしねぇよ”

俺はニカッと笑うと、そいつと一緒にその部屋を飛び出した。

“行くぞ!!”

思ってたよりもずっと冷えて冷たかったそいつの手を握りしめて、俺は誓ったんだ。

償いとか、そういうんじゃなくて。

ただ、こいつだけは。

どうしても助けてやりたいと思ったから。

『……ずっと側にいる』

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