翼~開け放たれたドア~
ムスッとした顔の相澤空夜は、また無言で松本蓮を殴った。

うわ、痛そ。

「いっでー!!」

「あははははっ!」

「おい飛鳥!笑ってんじゃねぇよ!」

「うわっ、ちょっ…八つ当たりで殴ろうとすると禁止!
てゆーか蹴るのも禁止っ!!」

「蓮もばかだよね。
春輝のこと言われて、空夜が黙ってるわけないでしょ?」

「…直」

「はいはい、わかってるよ。空夜」

「蓮、飛鳥、うるさいんだけど」

「秋人ー!助けてー!」

「あ、おいこら!飛鳥待て!」

「おいっ!飛鳥、俺の後ろ隠れてんじゃ…っ」

あーあーあー。

散々だな。こいつら。

「なぁ、龍也。
なんかあの頃に戻ったみてぇだな」

「確かにな。飛鳥ってなんだかお前みてぇだしな」

「え、ひどくね?それ。俺あんなんだった?」

「あぁ」

え、何その即答。

地味に傷つくんだけど。
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